松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

翻訳や通訳が、逆に誤解を生んでは話にならないので…

これまで学んできたことをまとめながら、「これは…」と思う問題を、ホームページで少しずつ採り上げていくことにしました。
 今日も、要注意の問題を発見したので、少し文字数が多くなってもいいようにと思い、ブログに書くことにしました。


 日本語でも中国語でも、基本的な意味の単位となることが多いのが漢字二文字の熟語の「名詞」です。
 日本では、漢字の導入後、漢字からひらがなやカタカナを発明しましたが、漢字そのものに対しては、訓読みを付け加える以外、大きな加工はしていないので、若干ニュアンスの違いは生じたとしても、漢字の熟語の大まかな語義は、ほとんどの場合、今もずっと共有できていると思います。


 ただ、人間のすることですから、そういう訳にいかない場合も、もちろん、有ります。
 その恐らく最も有名な例が、
【漢語】 ❝汽車❞ =【日本語】「自動車」
【日本語】「汽車」=【漢語】  ❝火車❞
という組み合わせかと思いますが、
今後のことを考えると、遠くない将来、後者の指す蒸気機関車は無くなってしまうであろうと思われ、今更そんなに強く意識する必要は無いのかなと思っています。


 しかし、今日発見したのは、将来無くなるどころか、もっと頻繁に出て来る可能性も有る言葉なので、とにかく一度採り上げておこうと思います。


 それは、日本語の「偽薬(ぎやく)」です。
 新薬開発の際、薬の効果を判定するため、新薬に似せて作ってはあるが、実はその成分を含んでいない、本物との比較対象用の、新薬まがいの『偽薬(にせぐすり)』とでも言うべきものです。
 世界中の製薬業界が使うこの種のニセ薬は、
英語で ❝placebo❞、日本でも「プラシーボ」というカタカナ語も半ば市民権を得ているようです。 


 そして、中国語は
繁体字: ❝安慰劑(ㄢ ㄨㄟ4 ㄐㄧ4)❞
簡体字:❝安慰剂(ān wèi jì)❞ です。


 漢語の世界では、❝伪币(偽札)❞、❝伪书(偽書)❞、❝伪证(偽証)❞ 等の単語が実在する上、❝安慰劑❞ という専門用語もできているわけですから、「ぎやく・placebo・プラシーボ」の意味の場合、たとえ ❝安慰劑❞ という語を思い出せなくても、「偽薬」の二文字の無神経な直訳だけは何が何でも避けたいものと考えます…


 私のホームページではトップ・ページの左上のコーナーで、最近、この類の話題を採り上げ始めました。そのうちには…面白くなってくるかも…しれません: