松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

キラキラ・ネーム と カタカナ語(2)

 それでは、金メダリストの話も出たことであり、まさかのコロナ禍の中で奇跡の大成功を収めた東京2020の日本代表選手団の名簿を見てみましょう。


 選手数は、オリンピックが592名、パラリンピックが255名、計847名でした。
 ただ、その中には、外国で生まれたとか、帰化して日本国籍を取得したとか、その出身、経歴、名前の読みからして、カタカナ表記のほうがむしろ自然なような外国色濃厚な背景を持つ選手が17名含まれていたので、日本人の命名という観点からの本集計からは除外させていただきました。
 以上、830名の集計結果ということになります:


一、カタカナ名…2名、0.3%。
 女性の「アンナ」と男性の「リオン」。
 この二人の経歴からは、外国風の名前が付けられるような背景が浮かび上がって来なかったので、純粋な日本人の命名パターンの一つとしてカウントしました。


 初め、私は、「キラキラネーム」というのは、文字通りカタカナで書かれているカッ飛んだ名前のことかと思い込んでいたので、カタカナ名がこんなに少ないことを知った時は、肩透かしを食らったような、拍子抜けしたような気持になりました。


二、ひらがな名…女性のみ26名、3.1%。
「うらら」「さくら」「のどか」等。「なつ美」「まみ子」等漢字交じりの四名を含む。
 LGBTQの時代なので若干心配していましたが、男性のひらがな名は有りませんでした。ほぼ想定内の結果と思います。


三、漢字名…802人、96.6%。
「萌」の字の流行を感じました。
 未萌=みほう;萌=めぐむ;萌香/萌華=もえか;萌映子=もえこ;萌寧=もね等々。


「キラキラネーム」の主役がカタカナ名ではなさそうだと気付き始めたところに、この漢字名の圧倒的な多さですから、意外な展開になってきたと思いながらも、もしかすると、キラキラしているのはこちらか?と、漢字名が発しているのかもしれない「キラキラ」さに注意を注ぎ始めました。


●「隠し味」ならぬ「隠し外国語」?:
・自転車競技の男子BMXで五位に入賞した中村選手の名前は、やはりBMXの選手だったという父親が付けた「輪夢=りむ」でした。自転車の車「輪」と「夢」をタイヤの部品である「リム」に掛けています。と、「輪」は、実は、「五輪」の意味も掛けてあったのだとか。恐れ入りました…
・エキゾチックな名前もいくつか:
=えるな;萌寧=もね;莉央/璃緒=りお;瑠唯=るい;礼生/怜央/玲雄=れお…


●好みの漢字を選り取り見取りで楽しむ?:
 傾向の一つとして、「万葉仮名」に回帰するかのような漢字一字一字の読みを繋げる命名パターンがはっきりと認められました。人それぞれ好みが違いますから、漢字の好みもバラけるようで、満艦飾の様相を呈しています。もしかすると、これこそが「キラキラネーム」の正体ではないか?と思えてきました…
亜華葉=あげは;有夢路=あむろ;杏也加=あやか;明結美=あゆみ;希巳加=きみか;紗也可=さやか;早裕吏=さゆり;心緒吏=しおり;史帆実=しほみ;利来也=りくや;璃梨佳=りりか;和可那=わかな等々。


 これらの名前の特徴は、「万葉仮名」風の様式美だと思います。数ある漢字の中から音や姿形で選ばれた漢字の組み合わせ、あらためて一文字一文字を粒読みにしていくと、それぞれの個性的な美がハーモニーし、華麗な合奏曲を奏でるかのようです。


(つづく)


(参考)
キラキラ・ネーム と カタカナ語(3):https://tmatsumoto.muragon.com/entry/452.html
キラキラ・ネーム と カタカナ語(4):https://tmatsumoto.muragon.com/entry/453.html


キラキラ・ネーム と カタカナ語(1):https://tmatsumoto.muragon.com/entry/450.html