松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

中国共産党 習近平氏は失脚した…

 下の画像は、石平氏の Youtube 番組「中国週刊ニュース解説」5月14日号からの画面に私が赤の下線と日本語の訳語を書き加えたものである。


1)中国語の呼称について:
 ニュース記事のように単に出来事を報じる場合、つまり、特には敬意を表わす必要が無い場合、中国では名前を呼び捨てにすることが少なくない。
 淡々と起こった事実だけを、短い時間にできるだけたくさん、伝えてくれれば、もうそれだけで十分満足できる、特に朝の定時ニュース等、変な気の使い方が多い日本でも大いに見習ってもらいたいと思うほどだ。
 無駄の無いニュース番組というのは、慣れると、実に新鮮で快い。


2)文化としての「人に対する呼称」について:
 この場面は、韓国の大統領の就任式に習近平国家主席の名代で訪韓した王岐山副主席が、就任式の前か後かに前大統領と会見した時のことである。
 漢語圏のTV局が競って採り上げたのが、その時、王岐山氏が主席について言及する時、続けて3度も、「他(tā。日本語訳:彼)」という代名詞を使ったという件で、上位の者への「礼を失したあるまじき行為」であるという趣旨のニュースだった。
 なるほど、こういう場合の敬語の使い方は日本語と全く同じなのだ、ということがよくわかる:

 という具合で、石平氏の番組は、いつも通り、期待通りのニュース解説が進み、今秋の党大会へ向けて益々熱くなりそうな人事のせめぎ合いを予告して終わった。


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 と、いきなり翌日、この件にも絡み「習近平失脚」、「李克強総書記説」等「事件性の話」が漢語圏のSNS類で盛り上がっているということで、石平氏は急遽臨時に番組を組み追加情報を提供してくれた。


 結論としては、しかし、習近平氏は「失脚というところまでは行っていないだろう」ということで、どちらかと言うと、突発した「事件の噂」を消火するかのようなものだった。
 理由は、それ以後のニュースを見ても、「指導者・習近平」を謳うニュースが依然報じられているし、「トップの交代」を思わせるような劇的な変化は見てとれない、ということだった。


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 今年の10月か11月に中国共産党の党大会が開かれます。
 人口14億だか15億人だかの世界一の大国で、5年に1度のみの大会なので、特に大事件が無くても、最高幹部の人事は常に世界の関心事となります。


 石平氏は、自身、王岐山氏の呼び捨てを「事件」として捉えたのに、追加した臨時の番組では、拓殖大学・澁谷教授の『中国語カフェ』や中国人の “老灯” 氏の Youtube 番組を採り上げながら、何故「大事件」認定に踏み込めなかったのでしょう?
 日本の国籍を取ったら、人間が「大人」になり、誰をも刺激しないように「大人の対応」を取るようになってしまったのでしょうか?


 私も、「事件」後となる日時の「人民日報」紙面に「習近平」の名が載っている記事を見たが、誰だかの説明にあった、「共産党にだって面子が有るから、事を荒立てずに首班の交代ができるなら、なるべくそうしたいのではないか」という言葉を諒とした。


 習近平氏が、武漢ウイルスへの対応で、党のトップ25人の政治局会議が一度はソフト路線への変更を決めたものを、その上のトップ・セブンの政治局常務委員会で再び覆し逆転をさせてまで貫徹しようとしている「ゼロコロナ政策」、現在、上海でも北京でも混乱を巻き起こしている。


 伝染病と闘うと言うより、「国の感染対策を疑ったり、否定したりする動きとは断固戦う」という政治闘争の色を濃くしているので、さすがに何か大きな力が働いたと、私は思う。
 3月には、朱鎔基元首相が習近平氏の三期目入りに反対することを表明していた。毛沢東と同じ道を歩きそうな男が政治闘争を始めるということは、悪夢の文化大革命の再来である。
 文化大革命の悲劇を知っている世代がいる間は、土壇場でそういう良心が結集することも可能だという『奇跡』なのかもと思う…