松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

戦争は、開戦させたら、勝っても負けだ!「抑止力」…

 ロシアがウクライナ戦争を仕掛けてからちょうど1年になる。
「露骨な開戦準備」に引き続き、「公然と隣国に侵略」を始めたロシアだが、当のプーチンはまさかこんなに長丁場になるとは思っていなかったのだろう、というのが専らの噂だ。


 ウクライナに対して実に無礼千万な話だが、そこには、プーチンに「今のウクライナなら速攻で勝てる」と誤解させるような状況が揃っていたようだ:


1)1994年のブダペスト覚書により米英ロシア3カ国がウクライナの安全を保障したので、ウクライナは核兵器を全て撤去してしまった。


2)2014年、ロシアがウクライナ領のクリミア半島併合を強行した際、ブダペスト覚書というお守りをくれた米英両国は、結局、ロシアの無法な蛮行を阻止できず、「国際的信義則など無力で抑止力とはならない」という国際社会の実態を天下に晒してしまった。


3)中国共産党の機関紙「人民日報」同様「西側世界の条約や覚書など『紙屑』にすぎず、実際に領土問題を決めるのは軍艦や戦闘機、ミサイルである」と意を強くしたプーチンは、クリミア併合の成功体験にも力を得、「たとえウクライナを支援しようとする国が有ったとしても、『核』の使用をちらつかせれば、参戦してくる国は有るまい」と確信したと思われる。


 実際、ウクライナへの武器の供与等を見ていると、欧米自由主義圏の勢力は、公然とロシアを敵視し、ロシアの軍事行動を分析、互いに保有する武器を調整、提供しながらも、「応援しているだけで、参戦はしていませんよ」と、ほぼプーチンが想定した通り、腰の退けた小ずるい反応しかできていない。


 しかし、自国が戦場となっているウクライナにしてみれば、どんなに小さな攻撃であれ、戦いが続く限りは、被害も無限に続いているのだ。
 もちろん、いつかは終り、戦後を迎えることになるのだが、その後どんなに回復に努力しようとも、決してやられる前の状態そのままには戻れない。
 人命の被害、物の被害、あるいは心の被害の進行が止まるだけだ。


 例えば、今、ウクライナで行われているロシア軍による戦争犯罪。
 初めから戦争犯罪であることが明らかですから、そのための証拠集めも当初から同時に進んでいます。
 ミサイルで死んだ人、拷問で死んだ人、ロシア軍人に凌辱された婦女子たち、いざ戦争が終わったら、万全な証拠を元に軍事法廷に訴えることができるでしょう。きっと完全な勝利を勝ち取れそうに思います。
 被害者1人当たり1億円とか2億円とかを要求してもおかしくないでしょう、世界は言いたい放題を許してくれるでしょう。


 いかに満額回答の判決を勝ち取ったところで、それは「原状回復」とは違います。
 金銭で代替できる物も有りますが、人的被害は取り返しがつきません。
「遺族」という立場の人が一様に叫び続けるのは「被害者を生きて返して下さい」です。
 視力を失った、四肢が損傷した、心理的ショックを受けた、どれを取っても、金銭で回復できる部分など微々たるものです。皆、「元の体を返してくれ!」という悲痛な叫びの前には言葉を失うばかりでしょう。


 ましてや、どんなに勝利が固い裁判であろうと、中国のように、国際的な公的機関の判決でさえ、自分の主張が認められないと、「そんな判決は紙屑だ!」と言って歯牙にもかけない大国が主導する現今の国際社会です。


 ロシアのプーチン大統領は、軍事法廷でウクライナ側の訴えが全て通り100%の敗北をしたとしても、不利な判決に従おうとはしないでしょうし、ロシア国内に留まる限り何の強制力も受けることが無いでしょうから、ただ無視し続けることでしょう。
 ウクライナ側が完全勝訴しても、実際に手に入るのは判決書1枚だけかもしれません。


 一度開戦してしまうと、双方ともに「原状回復が不可能な被害」が必ず発生します。
 なるべくそういう馬鹿は避けましょうという意味で、あらかじめ相手に強力な反撃能力を見せ、攻撃を諦めさせるのが「抑止力」です。
「平和を欲するなら戦争を準備せよ」という逆説的な言葉が意味するものも同じです。


 攻めてくる可能性の有る人間に「攻めれば、勝てる!」と思わせないこと、「手を出したら、自分も危ない!」と思わせることが、お互いの平和を守る基本であるということ…


 という抑止力のわかり易い例を、青山議員のエロ親父たちに関する映像を借りて紹介しようと、昨年の11月頃からこの項を書き始めたのですが、何回も何回も見、聞いているはずの映像がなかなか見つからず、やっと最近一つ見つけたのが以下の参考映像です。
 抜粋分だけでも1時間近くなってしまいましたが、是非「エロ親父たち」の行動を抑止する部分を御確認下さい!


参考映像:
 青山繁晴参議院議員の「ぼくらの国会」第339回(2022年5月16日於仙台)
 全編1:57:13より56分30秒分を抜粋しました;


 世界中で戦火の絶えない中、我が日本はお蔭様で戦後78年、戦火を浴びずに過ごしてくることができました。
 日本の再興を抑えるべく米国が残していった日本国憲法を今まで一度も改正せず、自衛隊を身動きの取れないままにしておきながら、よくここまで無事に来れたものだと思いますが、この平和がいつまで続くかは、未知数です。


「武力行使を放棄しない」習近平には、「日本には必ず勝てる」と思わせないことが、取り敢えずは肝要だと思います…