松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

zhong1 ai4 “钟爱”…「こよなく愛する」

 同じ “” の字を使う中国語に “一见钟情” yi1 jian4 zhong1qing2 という成語が有ります。
「一目ぼれ(する)」という意味です。


 なんで “钟” なんだろう? 
 私たちの世代は、歌手だか女優だかが口走って有名になった「ビビッと来る」という表現が男女間の微妙な感情を表わす表現として有りました。


「ビビッ」と言えば、どちらかと言うと「感電」のイメージであり、「カンカン」、「ガンガン」、「グワングワン」というような「鐘」のイメージではありません。


 間も無く古希を迎えようかという歳になって、恥ずかしながら、『鬼滅の刃』の勢いにあやかりたく辞書をひいてみることにしました。
 というのは、『鬼滅のコーヒー』に、“钟爱” という言葉が出て来たから…:

 やはり、何かの時の辞書頼みですね。
 このような感情を表わす zhong1 は、元々、旁が「童」の “鐘” ではなく「重」の “鍾” だったのでした!


【钟・鐘・鍾】zhōng 
(Ⅰ)[鐘]①打楽器の一種。②釣鐘。③大きな時計。④時刻。
(Ⅱ)[鍾]<文語>さかずき。[盅]に同じ。
(Ⅲ)[鍾]①(感情等を)ひとところに集める。[~愛]寵愛する。[~美]美をひとところに集める。②量詞。古代の秤の単位。③<姓>鍾(しょう。しゅ)


(Ⅲ)の “寵愛/寵美” と同根の[]が人間の「感情」に繋がってくるのでした。
 簡略化の過程で違う漢字が統合された結果の出来事です。


 やはり、言葉は生き物です。
 現在、中国語で “” の字を見るのは、(Ⅰ)の「鐘、時間、時計」の意味の時であることが圧倒的に多く、自動的に「鐘」の字を思い浮かべ釣鐘や除夜の鐘をイメージしても「当たらずと言えども、遠からず」なのでしょうが、今回のこの件は駄目でした。


 一方、“” の字を日本で使うのは、「鍾馗様」と「鍾乳洞」ぐらいのようなので、大騒ぎする問題ではありません。
 ただ、今の今まで、“” を見て自動的に「」の字を思い浮かべ、釣鐘や除夜の鐘をイメージしながら何とか「愛」「恋」「愛しさ」を感じようとしていた自分が情け無く、いかに変な学生であったことかと、「グワ~ン」と頭を一撃されたような思いなのです・・・