松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

【諺】寅吃卯粮 or 寅吃卯糧 [寅・とら]と[卯・うさぎ]が…

 今年は、西暦2022年・令和4年・皇紀2682年、壬寅(じんいん・みずのえとら)の年、新暦ではもうすでに2カ月、旧暦(春節2月1日)でもすでに1カ月が過ぎました。
 皆さん、常套句になった「コロナ禍の中」どのような新年をお迎えになったのでしょうか?


 御覧のように、今日の成語は、今年の干支の “虎=寅” と来年の “兎=卯” のセットです。前の3文字 “寅 吃 卯” だけ見ると、“寅が卯を吃 chi1(食べる)” という怖そうな並びになっていますが、最後に “粮 または 糧” とあるから、きっと食べる対象はそちらに違いないと、ひとまず御安心いただき、遅ればせながら、少し新年らしい話から…


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 WHOの事務局長・テドロス氏が、あたかもパトロンのようにお仕え申し上げている中国の不興を買わぬよう、「武漢」という地名を隠すために命名したウイルス名は、 
 “corona  virus  disease  2019” (➡ “COVID-19” )
でした。発生年は残されているので、「武漢肺炎」あるいは「武漢ウイルス」騒ぎが始まってすでに足掛け3年目に入ったのだ、ということがわかります。


 さて、ウイルスというのは、種族繁栄のため?変異を続ける、生物なのか無生物なのかわからない存在とのことですが、とにかくそ奴らに振り回されて、地球規模の出来事は、オリンピックもパラリンピックも、万博までもがすっかり食われてしまい、大規模な集団感染さえ起きなければ『合格』というような情けない後ろ向きの世の中になってしまいました。


 その間、大陸では、湖北省のあと、河南省が最近馬鹿な当たりようで、よくニュースに登場します。
 どこの国にあっても、「ニュースに出る」ということはあまり褒められたことではないのが相場ですが、あの中国にあっては特にそれが言え、河南の鄭州では百年来、千年来、万年来の豪雨により、電車の中で水死したり、トンネルの中で隠したくなるほど多数の自動車が水没しました。


 また、今年2月1日の旧正月・春節を前にした『民族大移動』の前夜、全国の里帰り切望組の大反発を買う発言が飛び出したのが、河南省の地方の役人の口からでした。
 安徽省との省境に近い所なので、あるいは、かなり「田舎」と言って間違いないと思いますが、“郸城(dan1 cheng2)” という所が大ブーイングを浴びることになり、一躍全国区になった模様です。


 “添乱县长(お騒がせ県長)” の称号をもらったのは、董鸿(dong3 hong2)という名のある県の県長です。「~長」という役職にあればこそ、ウイルスではこれまで散々な目に遭ってきたのでしょう、年に一度の里帰りを楽しみにしている人たちに対し、役人の立場からのアドバイスをしたつもりだったのかと思います。
 移動する各地の規制に注意し不必要なトラブルを避けましょう、という趣旨のつもりが、
「ウイルスをばらまきそうな人間は帰省するな!」
と、帰省という行為をあたかも感染源の移動そのもの、また、全ての帰省を一律に
 “恶意返乡(悪夢のような帰郷)” と決めつけたかのように非難されたのです。


 と、以上は、 “春運(chun1 yun4)” という毎年春節前に繰り返される『民族大移動』の、2022年版に特有な現象だったと思いますが、この時期は、それでなくても「駅に案内役ロボットが登場」とか、交通機関にまつわる新製品のデビュー等、時代の流れを象徴する光景が展開されるのが常となっています。


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 さて、表題の成語、“寅吃卯粮” 又は “寅吃卯糧”(発音は同じ。yin2 chi1 mao3 liang2)ですが、文の構造は
寅 が 卯の 粮(簡体字)/糧(繁体字)を 食べる
であり、「2022年が 2023年の 糧食を食べる」という意味です。


 つまり、「前借りして食いつないでいく」ということで、成語の意味自体は、年の初めにはふさわしくない貧乏話なのですが、年単位の前借りという大らかな内容や、それを動物の干支で戯画化した発想が妙に気に入り、紹介したくなったものです。


 ただ、「虎」に関しては、それ以上に気に入っている表現が、以前から有ります。それらは:
1) “老虎 頭上 拍 蒼蠅” <比喩>危ない刃渡りをする.(訳:虎の頭の上の蠅を叩く)
2) “老虎 嘴上 拔毛” 虎の口の周りの毛を抜く.<比喩>大胆なこと.
で、いずれも『中日大辞典 第三版』(大修館書店)では、<成語>とまでは格付けされていませんが、「危なさ」は半端ないと思います。


 中でも 1) の「頭の上の蠅を叩く」ほうが「4字+3字=7字句」という構成の美しさも有り、圧倒的に好きです。虎もより怒り、荒れ狂いそうな気がして…