【自伝】4)りんどう湖置き去り事件…
「いやぁ、お前で良かった! 本当に良かった!」って、
置いてけ堀の恨みつらみも言わせようものかは、一方的に話し、一方的に喜んでいる。
さすがは営業部長だ。話を悪い方に持っていかせない。
「しかし、工場に帰って来るまで、誰もお前が居ないことに気が付かなかったってんだから、ビックリだよな。」って、
こっちがビックリだよ。2台ともにちゃんとバス・ガイドも乗っていたのに。
客の側には結構いい加減なところもあるだろうけど、仕事を受けた側が、全体で何人居るか、自分のバスには何人居るか、客を決して落としてこない、というのは最低限のお約束事だと思うのだが、ガイド同士で数合わせみたいなことをしないものかね?
「いやぁ、お前な、きのうの行きのバスから、酔っ払って、あっち乗ったりこっち乗ったりしてただろう。みんなお互いに『松本はまたあっちのバスに行ったんだろう』って、最後まで思ってたんだな・・・」
「考えてもみろよ。社員の中にも一癖も二癖も有るやつが居るんだぜ。そんなのを置いて来たら、当分は扱いづらいし、ましてや、パートのおばさんたちは慰安旅行の主役だ。一番楽しんでもらわなきゃならないんだ。置いてなんか来てみろ、何を言われるかわかりゃしない・・・」と、
なんか、定刻にバスに戻らないと何人でも置いて来そうな、物騒な話である。
「そこへいくと、普段から剽軽もののお前だから、話を聞いた時、みんなも安心したみたいだぜ。」
こんなことで安心されても困るが、会社全体にとっては、大難が小難に、最も無難な形で納まったということで、私のこの会社での特殊なキャラが作られ始めた、と言えるかもしれない…
(この事件結了)
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