松本克のブログ

国立高校の甲子園出場に関する記事でこのブログに巡り会ったので、その辺りのことが中心になるかな・・・

ADIDAS、弁解をするようでは駄目ダス…

 つい最近もフランスの高級ブランド・ディオールがやられました…


 バッグを手にした女性モデルの写真が:
「陰険な目つき、暗い表情。悪意をもって中国人をステレオタイプ化している」などと批判され、上海の美術展から撤回させられたのです。
 ディオールは、短文投稿サイト微博(ウェイボ)上で、写真は中国の有名な女性写真家・陳漫氏が撮影したもので芸術作品だと主張したが、批判が上がった後「速やかに削除した」と釈明したとのことです。


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 私が16年前に書いたADIDASの記事というのは、分野がやや違うとはいえ、やはり押しも押されもせぬ国際ブランドですから、それが中国市場で吊し上げを食ったという意味で、業績の良い企業、それも外国企業ほど、庶民の欲求不満の捌(は)け口にされるものだ、という社会風土について書いたものです。


 理屈のわからぬ者も多い「庶民」ではありますが、不満を爆発させたい時に選ぶ相手を間違えることは有りません。諸悪の根源の共産党に立ち向かったのでは命の保証が有りませんから、共産党以外の何者かを選ぶことになります。


 他人の物を壊したり、盗んだり、ケチョンケチョンに腐(くさ)しても罪を問われず、成り行きによっては共産党から褒美も貰えるかもしれないと考えると、共産党の後押しが無い企業、商店等を選ぶのがいいということになり、外国企業が有ればそれが一番となります。


 中でも、理想は日本企業、やりたい放題できる上に、追銭も期待できるかもしれない。
 他の国の企業の場合は、多少、抵抗、反撃されるかもしれないが、それでも最後は、共産党の戦狼外交、人質外交、恫喝外交で悪くてもチャラにはできる…


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❝ADIDAS推辱华运动鞋各地华人谴责 公司辩解❞
「ADIDASが中国を侮辱する運動靴を販促 各地の華人が非難 ADIDASは弁解」

 (※2006年)4月1日から世界同時発売した Adidas ・アディダスの “运动”(スポーツ・シューズ)が “有辱华之嫌”(中国を侮辱している嫌いが有る)ということで、アメリカのアジア系社会で論議を呼んでいるそうです。


※Adidas=アディダス= 阿迪达斯 ādídásī=爱迪达 àidídá。ドイツの国際的スポーツ用品メーカー。
簡体字 “爱迪达”繁体字 “愛迪達” は2つの記事の 中でたった1箇所にしか出て来ないので、あまり流行っていない表記と思われる)

※日本では外出時の履物は普通『靴』ですが、中国語の “靴” xuē は、日本語の『長靴』とか『ブーツ』に当たるやや特殊な靴類を指す語になるので、日本の普通の「靴」は、中国語では “鞋”xié を使います。


「世界同時発売」の数量が「限定1,000足」で、“每双的零售价为250美元” (一足の小売価格 US$250 ≒ 30,000円)なる超高級スポーツ・シューズ!


 しかし、どんな人が買うんだろう? なんて心配する必要は無いらしい。
 “依然受到ADIDAS球鞋 ‘死党’ 的追捧,销售速度很快”
(相変わらず ADIDAS ブランドの ‘信奉者' による熱い喝采を受けて、あっと言う間に売れて行く~)


はずだったが、今回ばかりは「そうは問屋が卸さなかった」のだと。


 “因为运动鞋鞋舌上的人像图案,~引起全美、甚至新加坡、 香港等地亚裔人士的强烈不满。”
 靴紐の下に有る『舌・ベロ』みたいな物が "鞋舌" 、中国語でもやっぱり『舌』なんですね。そして、その舌の上に描かれた人物の肖像画が、まるでアジア系の人種を漫画化したかのような図案だったので、 全米、果てはシンガポール、香港等のアジア系人士から強烈な非難の声が挙がってきたんだそうです。


 黄色の糸で縫われた漫画風人物の造作のどこが問題なのか:
 “黄色的卡通人物造型,此人(1)梳着小分头、(2)大大的头,(3)细细的脖,(4)上翘的三角眼、(5)朝天的猪鼻子,还有(6)两颗外露的兔牙。”


(1)ちょこ分けの髪…ビシッと一直線に分けた頭が『分頭』。とすると、『小分頭』はぞんざいな、前髪だけちょこっと分けた、という感じでしょうか。
(2)大きな大きな頭…以下のような連想が働くのでしょうか?
 ※ “大頭大脳” ⇒[喩]ばか・あほうの形容.回転が鈍いさま.(大修館書店『中日大辞典・増訂版』。但し、その後の『中日大辞典・第三版』には “大頭大脳” の語無し!)
(3)細い細い首…余禄ですが、怒ると首は太くなるらしいことが わかりました。
 ※ “粗了脖,紅了筋” ⇒[喩]烈火の如く怒った.青筋をたてて怒った.(大修館書店『中日大辞典・増訂版』)
(4)釣り上がった三角まなこ。
(5)天を向いた豚鼻…やっぱり中国でもこの鼻は豚ですね。(豚=中国語では “猪” )。
(6)むき出しになっている2本の兎歯…言われてみると、 兎ってこんな歯だったような気がします(歯=中国語では “牙” )。


 と、以上は、4月12日付けの記事からなのですが、10日付けの第一報では、表現に若干の違いが見られました:
(4)に相当する眼の表現は、“斜眼” とだけなっている… “斜眼” と言えば、通常は「やぶにらみ」ということになりますが、単純化された図案のここでは、眼を描く線が単に傾斜して(釣り上がって)いるという感じで「キツネ眼」といったところでしょうか。
(5)鼻の部分は、やはり “猪鼻”。
(6)が全く違って “獠牙” …外にむきだした歯.[喩]凶悪な形相.(大修館書店『中日大辞典・増訂版』)要は、「外に剥(む)き出しになっている歯」ということらしいが、おどろおどろしさを感じさせる “獠牙” よりも “兔牙” がより実物に似合っているように、私には思えます。


 また、顔の描き方のほか、かかとの後ろには “FENG” という文字が縫い込まれているそうで(写真では、横書きされた “FENG” の最後の “G” の字が見えるような気もする)、そのことも図案がアジア系の人間の顔であることを示唆していると説明されているが、その根拠についてははっきりとはわからない。
 あるいは、
眼  fèng yǎn  …鳳凰の目.<喩>目じりの切れ上がった美人の
dān fèng yǎn狐眼.釣り上がった目
の「feng」と関係が有るかもしれない。(ともに大修館書店『中日大辞典・増訂版』)


 “加上鞋后梆子还印着 Feng”
『加えて、靴の後ろの “梆子” には更に「 Feng 」とも印字されている』


※ “梆子” bāng zi ⇒ 拍子木:木または竹筒に穴をあけたもので、官庁で人を呼ぶ時、または夜番の時これをたたき鳴らす。(大修館書店『中日大辞典・増訂版』)


 靴の後ろの踏み潰し防止の縦の補強、いや、写真を見ると、アディダスは横向きに補強がされているみたいですね。
 どちらでもいいんですが、とにかくあの固い部分を『拍子木』に見立てているということが、今回の記事での最後の収穫だと思うのですが、


 拍子木抜けしちゃった?


※すでに消去されていますが、新華社の以下の2サイトの記事を題材にし遠くない日に書き上げたと思われる文章を、今回全面的に書き改めました(2022年2月11日記): 
1) http://news.xinhuanet.com/overseas/2006-04/12/content_4414625.htm (2006. 4.12)
2) http://news.xinhuanet.com/overseas/2006-04/10/content_4406652.htm (2006. 4.10)